ウィッグはデリケートにできています。
適切な方法でメンテナンスして保管しなければ、傷んだりクセがついたりして、長くきれいな状態に保つことはむずかしいでしょう。
そのため、メンテナンスや保管の正しい方法を知っておくことが大切です。
そこで、ここでは、ウィッグを保管する際に押さえておきたいコツについて紹介していきます。
ウィッグを保管するときは、特に注意したい3つのポイントがあります。それが次の3点です。
・髪を絡ませないこと
・型崩れを起こさせないこと
・湿気を溜めないこと
この3点がクリアできる保管方法としてもっとも良いのが、ウィッグスタンドです。
ウィッグスタンドとは、ウィッグをそのままの形で保管するための専用の道具で、ウィッグをかぶせて使います。
最大のメリットは、ウィッグを装着したときに近い状態が保てることです。
表面がどこにも触れないため、ダメージを最小限に抑えられ、髪が絡まったりウィッグ全体の形が崩れたりすることがありません。
また、通気性が良いため湿気を逃しやすく、ウィッグの状態を良好に保ちやすいというメリットもあります。
しかし、ウィッグスタンドが手元になかったり、保管スペースの余裕がなくて出したままにするのが難しかったりする人もいるでしょう。
その場合は、購入した際に入っていた袋に入れて保管することもできます。
ウィッグを袋に入れて保管するときのコツは、なるべく買ったときの状態に近づけることです。
そのため、買ったときの袋やウィッグの内側に入っていた丸めた紙は捨てないようにしましょう。
紙を捨ててしまった人は、丸めた新聞紙などでも代用できます。
ウィッグを収納するための専用ポーチなども市販されていますが、これを保管に使用するのはあまり良くありません。
なぜなら、ポーチに入れるために折ったりすると、形が崩れたりこすれた髪が絡まったりする恐れがあるからです。
なるべく傷めずに保管するためには、ウィッグスタンドか購入時の袋を使うのが良いでしょう。
ウィッグにはさまざまなスタイルがあり、髪の長さもショートからロングまであります。
基本的な保管方法はどんなスタイルでも同じですが、髪の長さによって異なる点もありますので、注意しましょう。
一般に、ショートウィッグよりもロングウィッグの方が保管の手間がかかります。
これは、髪が長いほど絡まりやすくなるためです。
ショートウィッグは髪が短いため、あまり絡まることはありません。
しかし、ロングウィッグはそのままネットや袋に入れると毛先が絡まってしまう可能性が高いです。
ひどい絡まり方をすると修復できなくなることもありますので、保管の際はひと手間かける必要があります。
ロングウィッグを保管するときは、ひとつにまとめ、根元に近い部分から順に長さに応じて3~4カ所を緩く結わえておくと良いでしょう。
このとき、ヘアゴムのような輪っか状のものを使って結わえると、取るときに毛先まで移動させる必要があり、大変です。また、ゴムの素材によっては絡まったり傷んだりすることもありますので、あまり向いているとはいえません。
表面がツルツルしていて幅が太めのリボンなどを使うと良いでしょう。
なお、きつく縛ると縛り跡がつくことがあり、あまり緩く縛ると解けてしまうことがありますので、適度に調整する必要があります。
髪を数カ所結わえたあとは、ネットをかぶせて保管しましょう。
ウィッグを使用したあとは、必ずブラッシングなどのお手入れをしてから保管するようにしましょう。
これは、髪の表面についたホコリなどを取り除き、絡まりをなくしてきれいな状態を保つために大切なことです。
特に、ウィッグの髪が絡まったときはその日のうちに解いておく必要があります。
なぜなら、絡んだまま放置していると、解きにくくなるだけではなく髪の傷みにもつながるからです。
ウィッグのブラッシングは、ただブラシをかければ良いというものではありません。
いくつか注意すべき点があります。間違った方法でブラッシングをするとウィッグの寿命を縮めてしまうことがありますので、正しい方法で行うようにしましょう。
まず、ブラッシングに使うブラシは一般的なもので構いませんが、ピンの詰まっているものより粗めのものが望ましいです。
これは、ピンが詰まっているブラシでウィッグを梳くと、引っかかりやすかったりカールがとれたりすることがあるからです。
また、市販のブラシで髪を梳くと静電気が発生することがありますので、気になる人はウィッグ専用ブラシを使うと良いでしょう。
ブラッシングをするときは、髪の根元から毛先にかけて一気に梳いてはいけません。
なぜなら、髪にブラシが引っかかって抜けたり、上の絡まりが下に移動してより複雑に絡み合ったりしてしまう可能性があるからです。梳くときは毛先から始めましょう。
毛先を毛の流れにそって梳き、上にブラシを移動して梳くというように、少しずつブラッシングを進めていきます。
絡まっている個所があった場合は、無理にブラシをかけず、丁寧に解きましょう。髪が絡まりやすくブラシ通りが悪いときは、ウィッグスプレーなどで全体を湿らせてからブラッシングをすると、スムーズになります。
ウィッグスプレーがないときは、霧吹きを使って水で湿らせても構いません。
ウィッグスタンドを使うと装着したときの自然な形をキープしたまま保管できますので、変形を心配する必要はないでしょう。
しかし、袋に入れて保管するときは注意が必要です。
保管方法を誤ると、型崩れを起こしたり髪が絡まったりして寿命を縮めてしまうことになりかねません。
ウィッグは、一度型崩れを起こすときれいに修復するのは大変です。
変形しないように正しい方法で保管するようにしましょう。
面倒だからと、ウィッグを軽く折ってそのまま袋に入れるといったことをしてはいけません。
袋で保管するときは、購入した際についていた丸めた紙を使いましょう。
もし、うっかり捨ててしまうなどして紙がないのであれば、新聞紙を自分の頭より少し小さめに丸めたものでも代用できます。
新聞紙のインクがウィッグに着かないように、念のため清潔な布で包んでおくと、より良いでしょう。
これをウィッグの内側に入れれば型崩れの防止になるだけではなく、湿気を除くのにも役立ちます。
なお、袋に入れて保管するときは、ウィッグを重ねたり上に物を置いたりしないようにしましょう。
重みでウィッグが変形する恐れがあります。
袋で保管するときは、直接ウィッグを入れてはいけません。
購入時についてきた黒いネットをかぶせてから、袋に入れるようにします。
これをしないと、袋の中で広がって髪の絡まりや変形の原因となってしまうでしょう。
また、ネットかぶせるときも、乱雑にすれば絡まりの原因になりかねませんので、注意が必要です。
ただし、ショートウィッグであればそれほど神経質になる必要はないでしょう。
髪が短くて絡まりにくいため、そのままネットをかぶせれば良いです。
ロングウィッグは絡まりやすいため、慎重にネットをかぶせるようにしましょう。
まず、ウィッグをテーブルなどの上に寝かせます。
そこに丸めた紙を入れて形を整え、毛先をくるくると丸めましょう。
きつく丸めると髪にクセがつくことがありますので、要注意です。
次に、保管用のネットをしっかりと広げ、後頭部からかぶせていきます。
それから、毛先を持ち上げて大きく広げたネットの中に優しく納めましょう。
なお、このとき、結び目は下になるようにします。
なぜなら、結び目が前髪側に来てしまうと、そのポイントでウィッグが押さえつけられてしまい形が崩れることがあるからです。
人間の頭髪と同様、ウィッグも定期的にシャンプーをして清潔に保つ必要があります。
なぜなら、ウィッグを装着すると髪の表面は空気中のチリやホコリなどが付着し、裏側は頭皮の皮脂や汗などで汚れてしまうからです。
皮脂や汗をそのままにしていると、ウィッグが傷むだけでなく、雑菌の繁殖も招きます。定期的にシャンプーをすることは、ウィッグについた汚れを落としてダメージを軽減させ長く保つようにするだけでなく、装着する人間の頭皮を保護する意味でも大切なことなのです。
とはいえ、頻繁に洗い過ぎるとウィッグそのものを傷めてしまう恐れがあります。
ウィッグの装着頻度が高い人でも、頭髪のように毎日洗う必要はありません。
着用頻度や着用時間にもよるので一概には言いにくいですが、匂いが気になった場合や、1~2週間に一度を目安に洗いましょう。
ただし、セットするためにワックスやスプレーなどを使った場合は、都度シャンプーをし、頭髪剤を洗い流すようにしましょう。
なぜなら、ワックスやスプレーなどがウィッグに付着したままになっていると、劣化を招く恐れがあるからです。装着頻度や気候、ウィッグの状態、セット材の使用状況などを確認して、シャンプーの頻度を調整しましょう。
ウィッグの詳しい洗い方については[su_posts template=”templates/list-loop.php” id=”1908″ posts_per_page=”1″ order=”desc”]をご覧ください。
ウィッグを洗うときのポイントは、「優しく丁寧に行うこと」です。
また、熱いお湯ではなくぬるま湯か水を使うようにします。
なぜなら、熱いお湯で洗うと、ウィッグを傷めてしまう可能性があるからです。
素材によっては、熱で変形してしまったりカールがとれてしまったりすることもあるでしょう。
シャンプーは、人間の頭髪用の一般的なものでも構いませんが、ウィッグ専用のものを使うとより安心でしょう。
専用シャンプーはウィッグのために作られていますので、素材に優しく、傷みにくいです。
シャンプーをするときは、濡らす前にブラシで梳かし、絡んでいるところがあれば解しておきましょう。
髪が絡んだまま濡らしてしまうと、より複雑に絡んでしまって解けなくなることがあります。
シャンプーはぬるま湯か水に適量を入れて溶かし、泡立てておきましょう。
そこに、ブラッシングして絡みをなくしたウィッグを静かに浸し、優しく押し洗いします。
このとき、ゴシゴシとこすって洗わないようにしましょう。
髪が解けないほど絡まってしまう恐れがあります。
洗ったあとは、清潔なバスタオルで包んでそっと押し、水気を吸わせましょう。このときも、決してこすらないようにします。
タオルドライしたあとは、陰干しで乾かしましょう。
耐熱性のウィッグであればドライヤーをかけることもできますが、あまり熱くなるとカールがだれたり溶けたりする恐れがありますので、注意が必要です。
陰干しをするときは、ハンガーなどに掛けて干すと重みで変形することがありますので、平置きしましょう。
なお、ウィッグは、表面が乾いても裏側のネット部分がまだ乾いていないときがあります。
湿ったまま保管するとカビが発生したり異臭がしたりすることがありますので、保管前にはしっかり乾いているかよく確かめるようにしましょう。
先に述べたように、ウィッグを保管するときにもっとも良い方法はウィッグスタンドを使うことです。なぜなら、ウィッグを自然な形で保つことができ、髪に負担がかからないからです。
剝き出しで置いているとウィッグに空気中のチリやホコリが付着してしまいますので、箱に入れるか布をかぶせるかするとより良いでしょう。
ウィッグスタンドが使えないときは、袋に入れて保管します。ウィッグを購入したときに入っていた袋をそのまま使うと良いでしょう。
手順としては、ウィッグのお手入れをしてから内側に型崩れ防止のための丸めた紙を入れて全体の形を整え、ネットを丁寧にかぶせてから袋に入れるという流れになります。
なお、メーカーや販売店によっては、ウィッグを購入したときに袋に厚紙が入っていることがあるでしょう。
この厚紙は、ウィッグがつぶれないように厚みを一定に保つために入っているものです。
そのため、厚紙があるときは購入したときと同じように入れておくと良いでしょう。最終的に、購入した時とほぼ同じ状態で保管するのが理想です。
なお、ウィッグは直射日光の当たらない場所で保管するようにしましょう。直射日光は、ウィッグの色が褪せたり傷んだりする原因になります。保管場所はクローゼットなどで問題ありませんが、湿気の多いところは避けましょう。
ウィッグは定期的にシャンプーをすることで良好な状態を保ちやすくなり、使える期間も長くなります。
ただし、頻繁にシャンプーをしたり保管方法を誤ったりすると傷めてしまう恐れがあり、注意が必要です。
ウィッグを保管する際は、髪を絡めたり型崩れしたりしないように注意し、湿気が溜まらないようにする必要があります。
ウィッグを長持ちさせるために、保管のポイントを確認し正しい方法で扱うようにしましょう。